後にも先にもやっぱり「ブルー・ライト・ヨコハマ」

 68年12月にいしだあゆみが歌った「ブルー・ライト・ヨコハマ」

今聴いてもイントロからエンディングまで完璧と思われる作、編曲はもちろん筒美京平。 いきなりチェンバロの”A♭7”の余韻は、まるでビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」のようなインパクト。8分音符のスタッカートのトランペットやチェンバロのイントロのメロディーが流れるようにAメロにつながる。5・7・5調の歌詞に、さのさのような歌い方、ビートをきかせたリズム隊(これもおそらく石川+江藤コンビ)などなど筒美本などで絶賛なのは言うまでもない。

個人的には筒美作品の凄い点として、イントロ、間奏の別なメロディーラインと、歌メロ部分でストリングスの違ったメロデイーが重なること。(この曲の場合は2コーラスはサビからなので間奏はBメロ・アレンジ)さらに歌を引き立たせるストリングスの使い方はやはりピカイチである。 しかし残念な部分は、バンドとしての音、特にギターは歌に入るとカッティングのみで見せ場がイントロのユニゾンくらいなところ。筒美先生はビートルズなどのバンド・サウンドはあまりお好きでなかったようで、ギターもオーケストラのワンパート的な使い方が多い。 ディストーションのギターが活躍するのは5年後の南沙織の歌あたりからなのである。

逆にバンド中心の音にホーン、ストリングスを被せるようなアレンジをするのは74年に登場する”穂口雄右”で、GS出身の加瀬邦彦、井上忠夫ですら作曲家として独立してからは大げさなストリングス・ホーンをメインとしたスコアが目立つ。 歌謡界ではビート・サウンド=GSサウンド的な解釈だったろうか、ブーム衰退とともにビート歌謡も消え、70年代前半までどんよりとした歌謡曲が蔓延することになる。 さていつもながら前半はヴォーカルレス、後半はヴォーカル入りで聴き比べ。特にイントロ、サビのストリングスをよーく聴いてみて頂きたい。

ここがすごいよ歌謡曲

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